盛夏 ― 宮城県石巻市雄勝町にて 真昼の雄勝町は、白い陽光にすべてが染まっていた。湾の水面はきらきらと輝き、山々の緑は濃く深く、蝉の声が空気を震わせる。 波打ち際では子どもたちがはしゃぎ、漁師たちは額に汗を光らせながら網を引く。 短い夏を惜しむように、町は一斉に息づいている。 海も山も、人も空も、すべてが全力で夏を生きていた。 ARCHIVE